欠点を魅力に変える金継ぎとは?
長年愛用していたお気に入りの器が、欠けたり割れたりしてしまったらどうしますか?形あるものは、いつかは壊れてしまうのが自然なこと。
でも、それが思い出のつまった器なら、ショックは大きいですよね。
「金継ぎ(きんつぎ)」は、そうした器を「天然の接着剤」と呼ばれる漆(うるし)を使って修復する、伝統的な技法のこと。
その歴史は非常に古く、縄文時代の遺跡からも金継ぎと似た技術で接着した土器が発見されています。
その後、現在の金継ぎの技法が確立されたのは安土桃山時代。茶湯文化の中でその芸術的な美しさが育まれていきました。
最大の特徴は、継ぎ目を隠すのではなく、模様として生かすということ。漆で接着した継ぎ目の上から金で装飾を加え、新しい器として蘇らせます。
目次
- 金継ぎの基本的なやり方
- 金継ぎを手軽に自分でやる方法
- ①金継ぎキットを使う
- ②金継ぎ体験教室に参加する
- 東京でできる金継ぎ体験
- おまけ:金継ぎに使う基本の道具と材料
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金継ぎの基本的なやり方
金継ぎの細かな手順は使う材料によって異なりますが、ここでは基本的な金継ぎの流れを紹介します。
①接着面の処理
割れた器の場合には、くっつける部分の面取りをヤスリなどで行い、断面に筆で生漆をうすく塗って染み込ませます。その後、湿度を60〜70%に保った場所でしっかりと時間をかけて固めます。
②割れた破片を接着
水で練った小麦粉に生漆を加えた「麦漆」という接着剤や、合成接着剤などそれぞれの破片の断面に塗り、貼り合わせていきます。接着にかかる時間は、接着剤の種類によっても異なりますが、麦漆を使用した場合には1週間ほどかけてしっかりと固めていくのが一般的です。
③欠けやミゾを埋める
細かい欠けやミゾなどがある場合には、接着がしっかりと固まったあとで、砥粉、水、生漆を合わせてペースト状にした「錆漆」で埋めていきます。
④余分な部分を削る
欠けやミゾを埋めて乾かしたら、はみ出た部分を削刀で削ったり、耐水ペーパーで研いだりして表面を滑らかに仕上げます。
⑤漆を塗っていく
継ぎ目や埋めた部分に筆で漆を塗っていき、1日ほどかけて硬化させます。その後、漆を塗った表面を水研ぎし、この工程を3回ほど繰り替えして厚みを作っていきます。
⑥仕上げ作業
⑤の作業の3回目に漆を塗った後、表面に金粉を蒔いて仕上げていきます。1日以上かけてしっかり乾燥させたら完成です。
金継ぎを手軽に自分でやる方法
金継ぎはその昔、修復師や蒔絵師などが副業として行なっていたものでした。そう聞くと、なんだか初心者には難しそうに思えてしまいますよね。でも実際は、時間と手間さえ惜しまなければ、特別な技術がなくても、自分でやることは可能なのです。
というわけで、ここからは金継ぎに挑戦してみたい!という方に、オススメの方法をご紹介します。
①金継ぎキットを使う
金継ぎに挑戦してみたいけれど、作業に必要な材料や道具をイチから揃えるとなると、ぐっとハードルが高く感じますよね。そんな方にオススメなのが、漆や金粉はもちろん、金継ぎがすぐにはじめられる道具が揃った「金継ぎキット」を買う方法です。
金継ぎキット天然素材だけを使った伝統的金継ぎができるものから、より手軽な合成樹脂を使った簡易金継ぎまで、レベルや好みに合わせて選ぶことができます。
金継ぎキットの中には、オンライン講座がセットになったものもあるので、いろいろと見くらべて自分にあったものを選ぶと良いでしょう。
②金継ぎ体験教室に参加する
自分でキットを使って金継ぎにチャレンジするのもいいけれど、作業の手順やコツをしっかりと学びたいという方は、金継ぎ教室に参加するのもオススメです。
特に漆はあやまって素手で触ってしまうとかぶれてしまうこともあるため、はじめての方は正しい扱い方を知っておくと安心。そのほかにも、乾かし方や磨き方、漆の塗り方などのコツは、実際に先生のやり方を見て学ぶ方がより理解が深まります。仲間と一緒に参加して、ワイワイ学ぶのも楽しいですね!。
東京でできる金継ぎ体験
金継ぎには興味があるけれど、教室に通うほど夢中になれるかわからないという方は、まずはワークショップに参加してみてはいかが?
オススメの東京でできる金継ぎ体験こちら。
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【料金】大人 6,000円
器の持ち込みOK?
多くの金継ぎ教室やワークショップでは、あらかじめ用意された器やお皿を使って金継ぎの技術を学ぶのが一般的です。ただ、上記体験教室は、器の持ち込みもOK!
直したい器を持っていけば、思い出のつまった器を学びながら自分で修復することができます。
ぜひこの機会にはじめての金継ぎにチャレンジしてみてはいかがですか?
おまけ:金継ぎに使う材料と基本道具の紹介
金継ぎの材料や道具は、大きく「繕い(つくろい)に必要なもの」と「仕上げに必要なもの」の2つに分けられます。キットや体験教室に頼らず金継ぎに挑戦される方は、今から紹介する基本的な材料は最低限そろえておくと良いでしょう。
繕いに必要な基本の材料
- 生漆(きうるし):漆の木の樹液から不純物を取り除いた漆のことです。
- 黒呂色漆(くろろいろうるし):下塗りと中塗りのときに使う漆です。
- 絵漆(えうるし):金粉を蒔く前に塗ります。
- 砥の粉(とのこ):砥石の粉を細かくしたもので、欠けやミゾを埋めるための錆漆(さびうるし)を作るときに使います。
- 小麦粉:接着用の麦漆(むぎうるし)を作るのに使います。
繕いに必要な基本の道具
- ガラス版やタイル:漆を混ぜ合わせるパレットとして使います。
- プラスチック製のヘラ:材料を練るのに使います。
- 削刀、耐水ペーパー:下地漆を削るのに使うもので、削刀はアートナイフなどでも代用できます。
- 筆、細いヘラ、綿棒など:接着作業などに使います。
- 食用油:筆や肌に付着してしまった漆を拭き取るのに使います。
- スポイトタイプの水入れ:下地漆を作る時に、水を少量ずつ入れるのに使います。
- マスキングテープ:器の仮組みや、漆が付着してほしくないところに貼って使います。
- ゴム手袋:漆はかぶれの成分が含まれているため、作業の時には必ず着用しましょう。
仕上げに必要な基本の材料
- 金粉:仕上げの装飾に使います。
- 磨き粉:仕上げ磨きをするときに使います。
仕上げに必要な基本の道具
- はらい筆:蒔いた金粉を払うときに使います。
- 真綿:金粉を蒔いたり磨いたりする時に使う絹のことです。
- フィルム研磨剤:金粉を蒔いて漆で固めた後に、軽く研ぐためのものです。
金継ぎの技法によって必要な材料ややり方も変わるので、下記3種類のどれを試してみたいか、事前にチェックすると良いでしょう。
- 簡漆金継ぎ
合成樹脂接着剤と天然の漆を併用
- 簡易金継ぎ
合成接着剤と合成漆を併用
- 伝統的金継ぎ
接着、下地、塗りの全てに天然の漆を使用